
建築設計白川冨川さんからの依頼で、静岡の日本軽金属 蒲原工場にできたアルミゲートハウス(守衛所兼、待合所)のサインをつくらせていただきました。
プロジェクトとしては、もともとあった守衛所を立て替えて、新しい建物にするというものです。この建築は、今まで一つの建物として機能していたものを、より細かい機能ごとに4つの棟ととして考え、寄り添うように近距離で並べ、棟と棟の間も含め建築として扱うというやり方で空間をつくっています。
この建築の特徴の一つに、アルミ造であるということがあります。はじめ、アルミ造と聞いたとき、ん?って思いました。アルミって構造になれるの?って。なれるんですね。アルミ造の建築というのは、今まであまり目にする機会が無いような、実験的な要素も持った建築のように思います。アルミ造の特徴としては、普通の鉄筋や木造に比べると、精度が格段に良いらしく(目に見えてよくわかるのは、壁面のエッジだと思います。)、今回の寄り添うという意向にはちょうど良いものなんだなと思いました。
僕のところにサインの依頼がきたときは、各棟に番号をつけたいということと、各棟の機能がわかるように守衛室や待合室などといった機能を表すサインをつけたいという話でした。ただ、その要望とプロジェクトの概要やバックボーンを僕の中で咀嚼したとき、例えば、漢字で「守衛室」と書いたときの複雑さといようなものは極力減らしたいと思いました。また、色々と考える中で今回のサインは、守衛さんに案内されたとき、不安に思わずちゃんと理解できるものじゃないと駄目だと思いました。

まず、ナンバリングについて考えました。
「4号棟でお待ちください」
守衛さんにこう言われたとしても、促される地点から全ての建物を見渡す事ができないため、これでは促された人は不安というか、恐る恐るにじり寄っていくしかなく、それでは、ちょっと足りないなと思いました。

そこで、全部で何棟あるかを示せれば、全部の番号表示が見えていなくても、自分が行きたい棟がそっちの方にあるとわかるんじゃないか、ということに気がつきました。それで今回のデザインができました。分母の4は4棟あることを示し、上の番号が棟の番号になっているというわけです。
また、デザインするにあたって、もう一つ気にしたポイントは、直線を使いながら如何に丸さを持つかということです。この建物のコンセプトでは、機能を各棟にわけていますが、完全に区切っているというわけではありません。棟と棟の間も含めての空間なので、真っすぐなアルミという要素でできていながら、少し揺らいでいるというか、丸いのです。このつくり方をサインにも持たせたいと考えました。そこで、なるべく大きな空気を含んだタイポグラフィにしようと思い、今回のような数字をデザインしました。ちなみに、びっちりそろった感じというのも丸さの邪魔になると考えて、これらの数字のウエスト(という表現で良いのかな・・・)を各数字でずらしました。(2と4を比べるとはっきりわかると思います。)
こういうサインで難しいなと思うのは、見る距離によって感じ方が大きく変わるという点です。例えば、3の真ん中の横棒は上下の二本より少し短くするのが良いとされるし、違和感が少ないのです。でも、この大きさで目の前にきたとき、それらのずれは大きく、目地との距離の不揃い感が目立ちすぎると思いました。また、僕は使っている人の感覚を大切にしたいと思っているので、今回は同じ長さにしたのです。空間ならではのこういう検討・考慮の幅は、印刷物などよりもかなり広く考える傾向にありますね。逆に、サインでは届きにくいような小ささを考慮するっていうのが印刷物にはあるんですけどね。


というような感じで、出来上がった次第です。白川さん、冨川さん、関係者の皆さん、ありがとうございました!
- CREDIT、及び建築概要
設計:建築設計白川冨川+日本軽金属グループ / 構造:日本軽金属構造グループ / 照明:コモレビデザイン(内藤真理子) / サイン:morld(横山博昭) / 施工:日軽産業 / 主体構造:アルミニウム造 / 用途:来客者待合所、職員待機所、守衛所等
今回のプロジェクトとは関係ないですが、ゲートハウスを見た帰りに、割と近いところにある、白川さんが伊東豊雄建築設計事務所にいたときにつくったアルミコテージという建物を見に行きました。周囲の環境も含め、とても良い建築でしたよ。とっても気持ち良かったです。

